2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

#129

洗濯物の中からわたしの下着をこっそり持ち出していることが判明したので、問い詰めるために兄の部屋に入ると、中では今まさに太古の邪神が召喚されんとしている最中だった。 とにかくわたしは、魔法陣の前にひざまづいていた兄を蹴飛ばして蹴飛ばして蹴飛ば…

#128

「馬鹿には見えない服」を仕立て屋に勧められた王様は、即刻その布地を使った服を国中にいきわたらせるように、とのお触れを出した。 一夜にして国民総ヌーディストとなったわけだが、当然のことながらこれを喜ばない勢力も少なからず存在しており、 結果、…

#127

「ルイーダの酒場くらい、お手軽に転職できたらいいんだがな」 「いや、あれだってそもそも経験値とかいろいろあるし、そんなにお手軽でもないだろ」 「……そもそも、こんな会話している時点で負け組な気がする……」

#126

バターになるのを防止するために、虎の間にアキレスを置くことにした。ついでに、アキレスの前に、亀も。 彼らはいつまでもバターになることなく木のまわりを回りつづけ、その運動から発電をすることで、環境問題にも貢献した。

#125

選挙も近いので仕事が増えた。やつらは選挙が近づくと大量に発生する。うるさいうざいと思うのは市民としては当然の感覚だ。 そこでおれたちのような駆除業者にお声がかかるわけだが……問題なのは、やつらは煮ても焼いても食えないので、後の処理に困るという…

#124

メールサーバでヤギを飼うことにした。 「スパム以外のメールを食べることはありません」とは、営業マンの弁。 確かに、仕事もその他のメールのやりとりも、スムーズにいくようになった。 そしてある日、待ち合わせの場所にいくと、彼女とヤギが腕を取り合っ…

#123

例えば、都内某ショッピングモールでベンチに座って一息入れていたら、思いがけず素足を曝したおねーさまがたが目の前を多数通り過ぎて得した気分になったり、かと思えば、その直後に鬢付け油のニオイをぷんぷんさせた関取が隣にどかっと座り込んだ時の気持…

#122

「まだまだ暑さが続きますから、暑気はらいにこのようなもので精をつけるものですよ」といって女将は、杯の上で自分の指に剃刀をあて、あかぐろい体液をみたしてみせた。

夏の日。

夏の日。

#121

彼の意識と記憶は、どの部位に宿っているのだろう……と思いながら、ジャム氏は「彼」のスペア頭部を作り続ける。

#120

「今年はエンドレスエイトの年だから、有明の三日間も六百年分くらいループするんだ」 「めちゃくちゃ、暑くて汗臭くて疲れそうな話しだな、それ」

#119

いろいろなものを見失って久しい男がぼんやりと立ちすくんでいると、どこからともなく声が聞こえた。 「あのこもまた親不孝な」 「なにもほとけさんのまえで」 どこかで聞いた声だな、と思い返すうちに、りん、と音がなってはっとすべてを思いだす。 今日は…

#118

例えば、輪郭のはっきりとしない虹をみたとき、感心するよりは、そのような虹が出現する要件や確率を頭の中で計算しだすような、そんな無粋な男だった。 そしてわたしは、むすっとした思案顔を横から眺めているのが好きだった。

#117

「高度に発展した同人活動は営利……」 「まてっ! 今の時期にそのネタは危険すぎるっ!」

#116

「変態と自称するのは誇りだが、変態と罵られるのは恥辱だ!」 「そーゆーたわごとは、パンツはいてからいいなさい」

#115

台風にも地震にもたいした被害を被った訳ではなかったが、日常の疲れがどっとでてー盆の連休はぐったりと寝そべっているよりほか、なかった。 そんなわたしをみて、家族連れの客たちが「パンダ動かないねー」などといいああっている。 動物園の中は、相変わ…

#114

三十才になって魔法が使えるようになった彼は、ここぞとばかりに獅子奮迅の働き。犯罪や災害から多くの人を救い、めでたくも恋人までできた。 が、某巨大掲示板では、その彼を名指しでdisる専用スレが登場、非モテたちが蝟集し、延々と怨嗟の更新を続けた。

#113

天国へとつづく階段の前に、「つづきはWEBで!」と大書きしてある看板がたっていた。

#112

早朝の地震で、寝ているわたしの上に大量の本が降ってきた。痛みはもう麻痺していたが、出血や骨折もしているらしく、意識が朦朧としはじめている。救援がこれ以上、遅れれば、わたしは助からないだろう。一つだけ残念なのは、目前に開いた本のページをめく…

葉。

葉。

#111

ある日、ごく一部の人々の頭上に地雷が出現した。頭上に地雷が出現した人々は恐慌に陥り、周囲の人々に当たりちらし、あるいはどこまでも意気消沈した。それ以外の大半の人々は、「我関せず」の態度を貫徹した。以前から周囲の人々に敬遠される傾向があった…

#110

もう十年以上にもなるだろうか、その当時彼は、工場街にある古ぼけた木造アパートに住んでいて、わたしはなにかと理由をつけては、かなり頻繁のそのそのアパートに立ち寄っていた。もういい年齢なのにいつまでも定職につかなかった彼は、一種の変人でお金は…

修羅雪姫

修羅雪姫 [DVD]出版社/メーカー: 東宝発売日: 2004/03/26メディア: DVD購入: 1人 クリック: 192回この商品を含むブログ (76件) を見る刑務所内で女囚が出産するのがファースト・シーン。 次に、雪が降る中、唐傘さしたヒロインが人力車に乗ったお偉いさんを…

#109

「ライダーで子どもキャラに重要な役割が振られたり、プリキュアにオードーリーがゲスト出演したり、すっかり夏休み仕様だよな」 「子どもでもないし、子どももいないのに、ニチアサにテレビ前にかじりついているあんたみたいなのも例外だけどな」

#108

オレの観測範囲はある時期までは順調に成長した。 その後、極端に特定の問題にしか興味を示さなくなり、それが常態化する。それどころか、観測範囲が興味を示す事物は、年々狭くなる一方だった。 今、オレの観測範囲の体は硬く縮こまっており、オレ自身と同…

#107

今年もゴ×ラがやってきた。 大量殺戮兵器の亡霊だとか台風のような自然災害だとか様々な説が飛び交っていたが、正体は以前不明。わかっているのは、毎年夏になると日本の、それも決まって都市部に上陸して破壊の限りをつくす、ということだけだった。 もちろ…

#106

「未来なんか見えたって、いいことなんざありゃしないさ」といって、葬儀屋は笑った。

#105

夏の蒸し暑さが終わらなくなって、もうかなりになる。 増え続ける湿気は止まることをしらず、大気中には濃厚な水分を含有するのが当然となり、すぐに酸素ボンベを背負わなければ外出もままならないようになった。 今では、古老たちだけが、「青い空」の思い…

#104

「twitterが一晩、鯖落ちしたことがあってね。お父さん、ほら、あの通り寂しがり屋だから、慌てて泊まりに来て。それで、そのときにできたのがお前なんだよ」

月。

月。