2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

#162

ぼくは、小学校に上がる前に事故死した妹のデータを電話の中にいれて携帯している。成長シミュレート機能はオフにしているが、特に支障がない限り、外界の様子をモニターさせて、日に何度か会話もしている。 両親のデータなどは、そんなぼくの弔い方には批判…

#161

友人があらゆる偏見を除去する「逆色眼鏡」を発明したとかいうので、試しにしばらくかけてみることにした。フールで無味乾燥、そして、身も蓋もない世界が目前に出現した。 友人には「いい発明だが、売れないよ」と忠告しておくことにした。

#160

「世界なんて巨大で複雑なシステムを製造した意志があったとして、規模が規模だからバグ取り切れないんだろうな」 「人間とか? ソドムとかゴモラとか大洪水とか、何度もデバックしてもこうしてはびこっているわけだし」

#159

別れたばかりの女に宛てて不機嫌と不満と忿懣を圧縮したファイルをメールに添付して送り付けたところ、新しいの男とのツーショット写真を送り返してきた。 正直、負けたと思った。

わんこ。

わんこ。

#158

失業を機に、半ばミイラ化した祖母の屍体を背負ってお遍路参りをした。 そのこと自体はどうということもなかったのだが、それ以前と以後とでは、他人との付き合い方が変わったわけで、不合理な風習であることは否定できないものの、それなりに意味はあるもで…

#157

今年の風邪は耳に来るらしい。具体的にいうと、通勤時の車内には、猫耳兎耳の人々で満ちあふれていた。 「馬鹿は風邪引かないっていうもねぇ」と、猫耳になった友人が私の耳を見ながら揶揄する口調で言う。 「確かに、馬耳でも鹿耳でもないけどね」と、とぼ…

#156

友人が「十代の女の子が毎朝起こしに来てくれる」というサービスを売りにしたベンチャー企業を起こした。「朝食を作ってくれる」というサービスも、オプションもあり。 まともな家庭人には不要だが、それでもニーズはあるらしく、かなり羽振りがいいらしい。

#155

ある日目覚めると、巨大な牛タンになっていた。変わり果てたボクの姿を目の当たりにした家族は、驚き、戸惑いながらもいそいそと調理の仕度をしはじめる。せめて、おいしかったらいいな、と、思った。

#154

横になった途端、しつこい羽音がしたので耳を頼りに掌を合わせたら、いきなり眠気が吹き飛んだ。 灯りをつけて確かめてみると、ぺしゃんこになった睡魔が掌に乗っていた。

時計。

時計。

#153

「結局、便利に使われるだけの存在なのよね」といいたげな風情で壊れたビニール傘が路傍に散乱する、嵐が過ぎ去った朝。

#152

「信ずるものは救われる」と説いた人は、「なんでわたしを見捨てたのか!?」と叫びながら刑死したそうだ。

#151

眠れそうで眠れないので、目蓋を閉じて羊を数え、ついでに片っ端から射殺していったら、動物愛護協会の面々からさんざん吊し上げをくらった、という夢を見た。

空。

空。