2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「ゼロだって国境だって虚数だって人権だって、いってしまえば人間の脳内にあるだけの概念だ。だが、それだって現実にはちゃんと影響を与える」 「だからといって、お前さんの脳内嫁の存在が正当化されるとは思わないのだが」
200円の夕餉。慎ましくジャンクに。
お堀の白鳥。
ななめ。
蝉の断末魔+朝晩の冷え込み+威圧感が和らいだ陽光+片付いていない宿題=残暑
「こう、ね。周囲と繋がっているかいないか、という微妙でゆるーい繋がりが、心地よいんですわ。それでわたしも、こうしてネットの中に埋没してどっしりと構えているわけでね」と、蜘蛛。
「バカにつける薬」の開発に成功し、案の定、それは、爆発的な売れ行きとなった。 ただし、買い求めた人たちが自分自身で服用したわけではなく、大部分は「贈答用」として消費されたそうだ。
「ちょっと八月を終わらせる旅に出てくる」 「永遠に帰ってこなくていいよ」 これが、三日前に同棲中の彼(無職)とした最後の会話。
桶屋 「風が吹くたびに儲かるだけの簡単なお仕事です」
不可解な落とし物。
某企業が「ゆるキャラ専用霊園」の用地を買収しはじめた、という噂が、業界筋の間で広まりつつある。
「この店にはね、小鬼が出るんだ。身長は十五センチくらいかな? プロポーションは人間とほぼ同じで、頭のてっぺんに角が一本ちょこんと生えている。特に悪戯したりするわけでもなく、棚の上を跳びはねたりするだけ。 お客さんや新米のバイトには、見えない…
空。
「探さないでください」との書き置きだけを残して、ヤツは姿を消した。最強の忍者といわれるだけあって、見事なまでに痕跡を残さなかった。 残された者たちは、「あれほどの手練れでも、失恋はきつかったらしい」と噂しあった。
星詠みは、満天の星空を見上げ、太古から受け継がれた秘術を駆使して、星の配置や動きから複雑な事象を読み取る。 神々や魔物の人知を超えた働きとか戦乱やら謀略やらがうごめく人間たちの喜悲劇やら、いずれも、星詠み自身からは時間的空間的に遠く隔たった…
朝晩は結構冷え込むこの時期、直前と同じ調子で裸で寝ていたら、体が冷えすぎたりする。 そんな時ふわりと裸の女が覆いかぶさってくる時がある。 これは女しか生まれず人交わって生殖する、毛布女という妖怪の仕業である。
空。
帰宅後のビールがうまい季節が過ぎ去って、虫の声が秋のものになった。日中はまだ夏だが、今は体を休めよう。
空
過去のつぶやきたちに会いにいった。 たどたどしい言葉遣いの六歳の、生意気盛りの十六歳の、過去に自分が口にした言葉たち。思考の残滓。 つまるところ、自分は自分でしかなく、 わたしはそれを確認して休日を終えた。
「その蛇は遺伝子をいじくっていましてね。脱皮をすると、鱗のかわりにカラフルな羽毛が生えるようになるんです。虹色で、フカフカの。かわいいですよ」 縁日で買った蛇は、脱皮するのを待つまでもなく、翌朝には冷たくなっていた。
日曜には一日中日曜日のベッドを占拠してだらだらと過ごすのが、月曜の日課だ。日曜してみればいい迷惑だったが、鈍感な月曜は気にする風でもない。 月曜の朝、妙に気が重いのは、前日に月曜が寝過ぎたためである。
レモン水。
若い頃は、言葉で表現することが怖かった。その不完全性さ、曖昧さが。 でも、技術の進歩のおかげでこうして思考を直接伝えられるようになると、今度はかえって、その不完全で古臭いやり方に拘泥しがちになる。
五年前に亡くなった祖母は、飼い猫が「盆踊りの音に合わせて踊る」といってきかなかった。 お囃子に合わせて、その時だけ直立して手足を振るのだと。 信じる者は皆無だったが、わたしが引き取ったその猫は、今、踊っている。
たまたま部屋に迷い込んできた夜の蝶を、少年は飼うことにした。 「夜の蝶は、ネオンが輝く夜の街でこそ、美しいものだよ」 当然、両親は夜の蝶をその場で放すよう、説得したが無駄だった。 虫籠にいれておいた夜の蝶は、案の定、たった一晩で無惨な姿に変わ…
終末以後の世界。 「よい日本人は死んだ日本人だけだっ!」 ゾンビが断言すると説得力が違う。
ある晩、ある男の夢の中に、バクがあらわれて、いった。 「あなたの悪夢をすべて、喰らいましょう」 翌朝、男は、それまでの記憶の一切を喪失していた。
若い頃、おれは見えない敵と戦っていた。 今、敵は可視化して、上司とか妻とか子どもとかになっている。人生これ常在戦場。 しかし、クリアすればいい問題点が目に見えているだけ、気が楽ではある。
花。