2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

黄色い葉。

黄色い葉。

#211

目覚めると例の女と同衾していた。 布団をひっかぶって数時間、ぼーっと過ごした後、生理的要求が差し迫ったのを機にようやく起き上がり、食事の準備をする。 ベッドに寝そべっていた怠惰は、おれを見透かした笑みを浮かべている。

朝マックでお仕事。

朝マックでお仕事。

#210

「赤い糸って足の小指同士を結んでいるんだって」 「それは……知るのが遅すぎたな。今からでは確かめようがない」 心中した二人は、膝から先が消失した状態でたっていた。

鯛焼き。

鯛焼き。

サマーウォーズ

さて。 夏に観た映画だが、何となく言及しないままにここまで来てしまった。年が改まる前に、多少なりともまとまったことを書いておきましょうかね。 実に、今さらという感じもするが。 面白いといえば、たいそう面白かった。ディテールにちょっと首を傾げる…

年の瀬ひかえて。

年の瀬ひかえて。

#209

不況の波はオフィス街を確実に侵食しはじめている。 今日はあの課長、明日はあの派遣社員といった具合に、不況の波にのまれて姿をけすものは後をたたない。 寒空の下、人々は足元をみながら不機嫌な顔で通勤する。

#208

か細いその糸が垂れてきたとき、誰よりも早く気づいた者がいた。自分で糸を手繰らず、他の虜囚たちに向かって「どうぞどうぞ」と先を譲った。案の定、糸が切れて大量の人が降ってくると、そいつは喝采を叫んだ。 ここは、地獄。

#207

ソイツはいつでもすぐ傍にうずくまっている。それを忘れてはいけない。少しでも油断すると、いつでもあなたに音もなく襲い掛かってくる。 その、不安という獣は。

ぶったい。

ぶったい。

#206

地雷原と化したサークル棟を、慎重に地雷をよけて部室までたどり着く。 なかではヨリコが退屈そうにタバコをふかしていて、あんまり地雷をつくるなよ、と窘めると、あんたが相手にしてくれないからじゃない、と拗ねた口調でいった。

き。

き。

#205

売れなくなった芸能人たちは定期的に集まってくじ引きをし、あたった者がスキャンダルを製造してお茶の間に話題を提供することになっていた。

#204

虎となって山中に消えた李徴は、その後虎の穴に拾われプロレスラーになり、匿名で孤児院に寄付をしたりヒールからベビーに転向したりするのであった。

#203

臨時ニュースを申し上げます。 今年のクリスマスはカップルの部屋やホテルに押しかけて「お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ性的な意味で」等と騒ぎたてる悪質な時期はずれ大人のハロウィンが流行るそうです。

#202

12月23日に人類が絶滅して、都市部ではいつまでもイルミネーションだけが輝き続けた。

#201

めったに鳴き声をあげない飼い犬がわぉんと鳴いたわけだが、その一声は祖先数十代分の悲喜こもごもなドラマと悲哀が圧縮された、膨大な情報量を秘めたものだった。 一方、リードを引いていた飼い主の方は、特にその声に注意を喚起もされずに平然と散歩を続行…

#200

「のど元過ぎれば、とかよくいうけど、人間、痛いことや苦しいこと、しんどいことについて、克明に記憶できないようになっているらしいね。だから、うん。そんなに心配しないでいいよ」 「ふった当人がふった直後にいうセリフじゃないよね、それ」

#199

そろそろ工場はフル稼働になる。 たかが一晩のことだが、なにしろ全世界規模の消費だ。総量は膨大になる。 プレゼントの有無に関わらず、子どもたちが常に幸福な境遇にあるとは限らないのだが、サンタもそこまで関与はできない。

#198

目覚めよと呼ぶ声あり。しかし、寒いから二度寝する。

#197

ドドドドドと地響きをたてて先生が迫り来る音がする。明日から、師走。

#196

「その欠落を売ってください」と声をかけられまで、わたしは自分が欠落を抱えていることに気づけなかった。そうかだからわたしは人並みにさえなれないのか。快く欠落を売ったのだが、以降の人生も代わりばえしないものだった。

そら。

そら。