#201

めったに鳴き声をあげない飼い犬がわぉんと鳴いたわけだが、その一声は祖先数十代分の悲喜こもごもなドラマと悲哀が圧縮された、膨大な情報量を秘めたものだった。
一方、リードを引いていた飼い主の方は、特にその声に注意を喚起もされずに平然と散歩を続行していた。