クラウド時代と

クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)

クラウド時代と<クール革命> (角川oneテーマ21)

前半は価値なし。
クール・ジャパン」とは明瞭な根拠も提示せずに「日本のポップカルチャーが世界中から注目を浴びている」というのを「前提」として語っているあたりで、もうダメ。こうした傾向はすでに一過性のブームを過ぎて定着したものであり、逆にいうと今後よほど強力なコンテンツが登場しないかぎり、今まで以上の盛り上がりにはならないでしょう。むしろ、拡散と浸透の時代に突入していて、世界各地で日本発のポップカルチャーの影響を受けたコンテンツが同時多発的に出てきている時代だし。
「発祥は日本」であるけど、だから今後も「日本が強い」とは全然言い切れないんだよなぁ。
そういう状況で「クール・ジャパン」とか明確な定義もせずにマスコミ受けしそうな用語を使ってしまう不用意さに、ちょっとげんなりする。
引き合いにだされているハリウッドより、日本のオタクコンテンツの方がよっぽど十年一日で変化がなく、どちらが早く飽きられるのかっていったら、どっこいどっこいのドングリの背くらべだと思うぞ。
五章以降、著作権などの問題点の指摘や未来への展望、東雲への言及など、目新しい情報が出てくるのでまだしも読みごたえがあり。
特にyoutubeをはじめとする動画共有サイト著作権との微妙な関係、てか、コンテンツで商売している側からみた手綱の引き締め方なんてのは、youtubeのおかげでハルヒを世界的にヒットさせた角川さんでしか出せない説得力がある。
反対に、終盤に紹介されている「日本のクラウド開発」東雲、というやつなんだが、紹介されているわりには具体的にどういう技術でどこまで開発が進んでいるのかとかいう内容がほとんど書いてない。あくまで、外側のアウトラインをさっと撫でて終わらせてしまった素っ気なさ、不親切さはどうにかならないものか?
この本読むかぎりでは、そんなに画期的でもなさそうだし、影響力もさしてなさそうなんだが……。