嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 7

前巻までの流れで、この本で完結かと思っていたら、まだまだ続きそうな気配。うーん。こんな狭い地域でやたらめったらシリアルキラーを輩出している、ということの不自然さは、とりあえず「お約束」として目を瞑っておく訳ね。今更だけど。
で、この一冊はシリーズ既刊分とはいろいろ勝手が違っていて、まず最初に違和感を覚えるのは、これまでえんえんと続いていた「嘘つきみーくん」の一人称ではなく、大江湯女(仮称)が語り手兼実質主人公として機能していることだろう。
ようやく終盤になってお馴染みの「みーくん」も登場するのだけど……この「みーくん」と「仮称湯女さん」、作中でも繰り返し「似ている」ということになっているんだけど、結構キャラが違うような気がするんだけど……。
特に一人称の地の文みると、決定的に「違うな」と思う。基本、だらだらでフェイクが多くて本音が掴みにくい、って部分は共通するんだけど……「みーくん」は嘘つきでも最終的に「守るべきモノ」があり、モチベーションの方向性にぶれがない。一方、「仮称湯女さん」には、そもそもモチベーションというものが、根本的に欠けている。
この違いは、やはり大きいよな……とは、これ読んで、思った。
「仮称湯女さん」は、あれだ。
どんなことをやっていても所詮「戯れ」止まり。どこか真剣になりきれない部分があるんだ。
しかし、相変わらず、文章は読みにくいし内容は非倫理的だし、こういう内容のが「ティーンエイジャー向けのエンターテイメント」として堂々と売られているこの国の文化状況は、良くも悪くも脳天気だと思う。
あと、余談ではあるけど、ラスト近くの病室でのハーレム状態は……「これが主人公補正か!」とは思ったが、実にうらやましくないハーレムだった。