円環少女 9

ああ。鬼火さんが……。
最後まで生き残るキャラではないと思っていたけど、こういうことになるとはなぁ……。
まあ、最後の最後まで、格好はよかったけど……。
ってか、少し前の作法だと、こういうキャラの方が主人公に据えやすいんだよな。今は、そいう時代でもないし、このシリーズのように「絶えず揺れている」方が、リアリティがあるんだけどさ。
しかし、このシリーズ、本当に無駄なキャラがいないなぁ。番外編的な短編に出てきただけのキャラもしっかりと見せ場作っているし、十香とかきずなとかのロジックも、この作品には「必要」なんだよな。確かに、男の原理だけでは……この世界は、回らない。
この一冊では主人公の葛藤としてやたら「悪」という言葉が多用されているのが、気になるといえば気になる。
これだけ複雑な世界観を用意したのだから、そんな単純な言葉で敵味方の識別などできない……という現実を、否が応にでも読者に納得させるために用意された葛藤……なのだけど、その割には、今回ようやく姿をみせた「九位」があまりにも分かりやすい権力志向の俗物だったことに、吹いた。
あれだけぐだぐだ悩ませておいてから、その直後にこういう「ぶっ飛ばしても誰も文句をいわない」キャラ持ってきて、単純化に逆行させるなよ……とか、個人的には思わないでもない。