#26

空が黄色に染まった朝も、ぼくはいつものように出勤をする。遠い外国から砂が飛ばされてきても、ぼくの仕事には関係がない。
通勤の途中、また人身事故で電車が止まった。ここの所、毎日だ。この国は、朝のラッシュ時に線路上にと飛び出したくなる人で溢れているらしい。今日は朝一から外せない予定があったので、遅刻するわけにもいかず、ぼくは次駅で降りてタクシーを拾う。
タクシーの中で打ち合わせ先の方に電話をかける。本当は電話やメールでも済む用件ではあるが、直接顔を合わせなければ安心しないお客さんなのでしかたがない。
そんな調子で何件か顧客を回った後、日が暮れてからようやく会社に到着。
上司からどうでもいいような叱咤を小一時間ほどうけて、ようやく本来の自分の仕事を開始する。
そんなわけで、その日も帰りはいつもの通り、終電ぎりぎりだった。
こんな毎日を送っているぼくに気の利いた物語などあるわけないし、従ってオチもない。


はてなハイク超短編より転載。