ゆれる

傑作でしょう、これは。
なにより、脚本が見事だし、キャストもはずれがない。っつうか、実力派目白押しで付け入る隙なし。
兄役の照之もいつもの通り、微妙な心理の動きを緻密に演じきっているし、弟役のジョーも、全然気迫負けしていなかった。
ミステリとしてみると、事件が起こったシーンで、「物理的に何が起こったのか」ということは明示されているわけで、「謎」なんかどこにもない、ということになる。
その後、裁判の前後になると、各登場人物の「内部で」なにが起こっているのか、というのが、この作品のメインテーマであり、面白いところだ。
しかし……こういう作品は、何年かに一本しか出てこないんだろうなぁ……。