冷たい校舎の時は止まる(上、中、下)

冷たい校舎の時は止まる (上) (講談社ノベルズ)冷たい校舎の時は止まる (中) (講談社ノベルズ)冷たい校舎の時は止まる (下) (講談社ノベルス)
土曜日に三冊揃いで買ってきた物を昨日昼過ぎあたりからビールとか昼寝とか挟みながら読み始めて、日付が変わるくらいの時刻に読了。
設定がちょっと特殊というか、オカルトがかっている点を除けば、基本的には「嵐の山荘」タイプの展開。長い割には文章が平淡で、幾らでも扇情的に書けるところをあっさりとながすあたり、上品ではあるけど食い足りない印象も感じた。
これがデビュー作で著者、1980年生まれ(!)だっていうから、作中に漂う「若さ」はまあ「地」なんだろうし、この種の潔癖さに好感を持つ読者も多いと予想は出来るのだが、この状況設定でここまで悪人を排除する展開はあまりにもご都合主義的なのではないのか。ネガティブな面も含めて人間、のはずで、登場人物すべての「弱さ」や「脆さ」を強調しすぎて、作品全体がなんだか底の浅い物になってしまったような気もする。
このあたり、次回作以降でどのように変化するのか、あるいはいしないのか。