ノルンの永い夢
- 作者: 平谷美樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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時間SFには、こういう悪夢的な幻惑がなくては、面白くない。
現代編と過去編、別々のプロットが同時進行していく構造なのだが、もちろん両者には登場する人物やアイテムやら理論やらが複雑に相関している。で、現代と過去、どっちのパートも、ストーリーテリングでは手抜きなしでリーダビリティは、どちらも遜色がないくらいに、高い。いや、どちらもディテールがしっかりしているので安心して読んでいるいられる。
時代考証なんかもかなりきっちりしていてリアリティがあるし、過去のパートには実在した歴史上の人物も多数登場、虚実が混合する面白さも味わえる。
あの時代のドイツ周辺、といえば、軍人や政治家、科学者などにも面白い人物が目白押しなのだ。
こういう歴史変革物を正面からやってくれる作家って最近ではあんまりいないから、尚更面白く感じたな。