顔のない裸体たち

顔のない裸体たち

顔のない裸体たち

うーん……。
これ、何が面白いんだろ?
よくある三面記事的な事件を仮想して、その裏側というか事件に関わった二人の内面を詳細に描写していく、って内容なのだけど、最後まで勿体つけて「事件」の全容を伏せている割には、蓋を開けてみると呆気ないほど単純な事件だし、メインの登場人物の男女二人も、凡庸というか、それこそどっかにいそうな人々で、その心理描写を延々とされても退屈なだけで面白くともなんともない。
もっと詳細に深窓心理の奥底まで暴きたてるような書き方ならもう少し、興味を持てたのかもしれないけど、こんな、容易に想像できる人物像の裏側を延々と説明されてもねぇ……。
結局、深い内面、なんてないんだよな、ミッキーにもミッチーにも。
環境の変化に自動的に対応してきた末獲得した、皮相なペルソナ程度はあっても。
あ。
だから、「顔のない」裸体たち、なのか。
お前らには、そもそもはじめっから顔なんざないんだぞ、複雑な内面なんかないんだぞ的な意味で。
でもそんな人はそこいらにざらにいるわけだしな。いまさら、それをわざわざ小説に書き起こそうとするモチベーションがどこから来ているのか、理解不能
結局、わたしは日本の純文学的な思想や規範を楽しめない、ということなのか。