空色パンデミック 1

空色パンデミック1 (ファミ通文庫)

空色パンデミック1 (ファミ通文庫)

中二病とか邪気眼を本当の病気にしちゃったよっ!」という着想が楽しい一冊。内容的には結構普通のボーイ・ミーツ・ガール型ストーリーなんだけんどな。
突発的に妄想と現実が区別できなくなって、それどころか妄想が他人の精神に伝染したり、さらにひどいときには世界そのものを書き換えたりする病気、という着想は、普通に凄いと思う。
そんでもって、そういうはた迷惑な奇病の持ち主の回りに、政府から耐性のある人材でチーム作って警護して、その妄想が一応の完結をみせるまで茶番につきあう、という設定が面白い。このへんは、喜劇的な状況下の悲劇というか悲劇的な状況下の喜劇というか。
まあ、いってしまえば、「政府公認の涼宮ハルヒ」的なシュチュエーションですな。
そんで主人公の男の子がひょんなことで知り合った大変な女の子に振り回されてあれこれする、という内容で、前にも書いたとうり、根本のストーリーラインはメインのアイデアほど奇異なものではなし。
個人的には、主人公が状況に流されるだけのヘタれくんではなく、自分の意志と判断で行動している点と、ラノベ業界全般が意識的無意識的に乗っかっている中二病的なメンタリティに、少し俯瞰した視点を導入して背景化した点を評価。
傑作というつもりはないけど、十分に良作だと思う。