円環少女 11

最新刊、読む。
相変わらず、情け容赦のない展開なのであった。
敵味方問わず、ごろごろ死体の山が築かれる。騎士団とか鬼火衆とかの被害が半端ない。それも、すべての成り行きが「必然的」で不可避なのがこれまでの既刊分で詳細に説明されているから、なおさら始末に悪い。
どうにも回避不能な悲劇だの惨劇だのを前にして、正義とかヒーローとかの建前を貫けるか、というのが武原仁の戦いだし、決定的に悲惨な状況下にありながらも絶対にハッピーエンドを諦めないのがメイゼルのメンタリティなのだろう。
何気に敵ばかりが増えて味方が減っていく一方のじり貧展開だが、ここから本当にハッピーエンドに持って行けるとすれば、それはそれで凄い力技だ。
この巻で各勢力間の関係や世界状況に微妙な変化が起きているので、うまーく綱渡りを渡りきればひょっとしてひょっとすると、ハッピーエンドもありえるかなぁ……という気がしてきた。成功確率は、とんでもなく低いけど。
しかし、この巻最大の功労者にして被害者のきずなちゃん、かなりトンデモないところに追い込まれているけど、この先どうなるんだろ? 正直、ここまで大物だとは思わなかったんだが……今回はダメージがハンパないから、立ち直るまでにまたぐだぐだするんだろうし、仮に立ち直ったとしても、前と同じポジンションに返ってくるとは限らない。
いろいろな意味で凄い設定とシュチュエーションだよな、このシリーズ。
あと、本編とは関係のない余談けど、あとがきで「あなたのための物語」にふれていて、「このシリーズがあってこその作品」、「戦略拠点32098 楽園の系譜」みたいなことが書かれていたことに深く頷く。
あなたのための物語 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

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戦略拠点32098 楽園 (角川スニーカー文庫)

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