記憶
- 作者: 前野隆司
- 出版社/メーカー: ビジネス社
- 発売日: 2009/03/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
ー記憶の分類。
宣言記憶…言葉で説明できる事物。
「意味記憶」と「エピソード記憶」に分類される。
非宣言記憶…言葉だけでは説明不能な、身体運用を含んだ記憶。運動、言語、リーダーシップ、プレゼンテーションなど、「スキル」に分類されるもの。
- 脳機能の分類
1.フィードバック制御
記憶には直接の関係なし。
外界の状況をモニタリングし、その情報に基づいて何らかの反応を返す制御。
2.フィードフォワード制御
これまでの記憶を参照、「これから起こること」を予測、その予測に基づいて行動を起こす制御。
外界の情報を逆モデルとして記憶し、結果から原因を類推して利用する。
3.フィードバック誤差学習
失敗から学習する方法。
「上達とは、フィードバック制御が速くなったり適切になったりした結果のように見えるかもしれないが、反射によるフィードバックの制御は鍛えて速くなるものではない。上達は、フィードフォワード制御への移行なのだ。」
4.逆モデル(インバースモデル)
フィードフォワード制御をつかさどるフィードフォワード制御器。
5.順モデル(フォワードモデル)
逆モデルの逆の働きをするもの。
- 意識はフィードバック的、無意識はフィードフォワード的。
- 記憶は、認知行動がフィードフォワード制御からフィードフォワード制御に移行するための道具として存在する。
意識的→無意識的、に。
そして、完全に「無意識的」なったとすれば、それは「学習を完了した」ということになる。(これはあくまで、「スキルの記憶」限定だが)
- 記憶なんて、様々な世の中の変化に対応するために獲得されたものなのであって、変化に対応しなくてもいいくらいの知恵(フィードフォワードモデル)を身につけた後は、少なくとも新たに獲得していく必要がなくなるような類のものなのだ。
- 記憶は無意識化するためにある。
「無意識化」が完了した際には、役目を終えた「記憶」は必要なくなる。
- 感情は、エピソード記憶を強調するために存在する。
- 幸せには三つのフェーズがある。
1.不幸を減少させることによる幸福感の向上
2.成長期における上昇の喜び
3.成熟期における至福
- 「人生とは、フィードバック誤差学習によって自分を成長させることであり、人生の後半に世界モデルがすべてつながると、ご褒美として継続的な幸福感を手に入れられるように人はできている。ただし、記憶や欲望に執着してゴールを間違えていると、残念ながらここには至れない。なにしろフィードバック誤差学習は、自分の定めた目標との差を縮めていく学習なのだから。」
以下、個人的な結論。
本書で主張されていることすべてに賛同するわけではないが、だいたいにおいてかなりの妥当性を持った、現実的な見解が述べられていると感じた。