電波女と青春男

電波女と青春男 (電撃文庫)

電波女と青春男 (電撃文庫)

……なんだこれは?
いい意味でも悪い意味でも作品世界の根底がどこかぶっ壊れているような気がする。一応、萌え系……だとは思うのだが……いまいち、自信が持てない。何しろ、登場するキャラクター過半数が、性格的に斜め上にいっている。
まず、メイン・ヒロイン。
主人公のいとこ。いろいろあって、普段から布団にくるまって生活している引きこもり。自分を宇宙人だと思っている。電波。美少女。
その母親、主人公からしてみれば叔母さんは職業不明でかなりぶっとんだ性格をしているわ、サブ・ヒロインの一人は惰弱体質で着ぐるみ好き、とか、無駄な設定が付随しているは……。
あー。萌え系イラストがついて「美形」という設定さえあれば、あとの要素は付け足しで、ぶっちゃけ、どうでもいいんだな……とか、読みながら思った。
一応、半年間、行方不明になったあと、その間、記憶喪失になったヒロインをもう少し何とかする、とか、両親の海外転勤を機に、叔母の家に寄宿することになった主人公の転校生デビューとかのプロットも用意されているんだけど……それら、日常的な、地味目のストーリー展開とキャラクターの奇矯すぎる言動、それに、妙に饒舌な一人つっこみ多用な一人称文体とが見事に噛み合っていないまま絡み合っていて、なんともいえない、奇妙な読書経験の素になっている。
とにかく、いろいろな意味で「ヘン」な作品だった。