この広い世界にふたりぼっち 1

この広い世界にふたりぼっち (MF文庫J)

この広い世界にふたりぼっち (MF文庫J)

むむ。へんな感触。
……というのが、第一印象だった。森とか神様とか魔法使いとか、ラノベやファンタジー、というよりは、童話とか児童文学的な世界観。
いや、おなじ「異界」を描くものであっても、ラノベ的な文法というものがある。それは、「とことん強くなる」とか「盛りだくさんな異性に取り囲まれてうはうは」とかいう、いわゆる中二病的な願望を満たす、という指向性を正当化する方便として使われる……ということなのだけど……この作品は、かなり毛色が違う。
冒頭、女の子の前にあらわれた狼がいきなりプロポーズしてきて、女の子方もあっさりとそれを許諾してしまう……というシーンからして、ひと味もふた味も違ったっているわけで……。
で、その女の子と狼は、それぞれの理由で、属する世界から排除されかかっている。排除される方も、それでよしとしている。孤独であることを忌避しない根性を持った一人と一匹が、決して相互依存的ではないやりかたで寄り添っていく……という課程のあれこれが、作品としての主眼。
その意図はおおむね成功している、といっていいんだけど……。
二冊目の感想に続く。