カブのイサキ 1

カブのイサキ(1) (アフタヌーンKC)

カブのイサキ(1) (アフタヌーンKC)

考えてみると、この人のマンガを買ったのは、これがはじめてなのだな。前の連載、「ヨコハマ買い出し紀行」は、雑誌ではぱらぱらと見ていたけど、単行本を買うところまでの魅力は正直、感じなかった。
で、はじめてまとめてこの人のマンガを読んでみたわけだけど……うん。面白い。想像していたよりも、ずっと。
おそらく、この人は、あまりキャラクターとかドラマとかに関心はなくて、どちらかというと世界観とか風景とかを描きたくて、マンガを描いているのだと思う。
人間の描き方ひとつみてみても、ごく簡単な、最小限のシンプルな線で、記号的に喜怒哀楽を表現している。
たいして、風景の方は……「なんだかよくわからないけど、ある日突然、地面が十倍になってしまった」という突拍子もない世界観から導き出される「異常な日常」の風景は、実に、描写が生き生きとしている。