たみおのしあわせ

たみおのしあわせ [DVD]

たみおのしあわせ [DVD]

観ている最中、「あ。なんか、台詞の組立て方とか、どことなく芝居ちっくだなぁ……」とか思っていたら、案の定、後で確認してみたら監督は戯曲畑の「岩松了」だった。
なんというか、田舎の閉鎖的な人間関係をじわじわと味あわせるような話し、だったな。
長いこと母不在の父子家庭(父役=原田芳雄、子役=オダギリジョー)を軸にして、子(=オダギリジョー)の縁談話がまとまりそうだ……というあたりから開幕するのだが、そこに十五年前から渡米していた、ヒッピー崩れの母の弟、つまりオダギリジョーからみたら叔父が転がり込んでくる。で、父の原田芳雄といい感じになっているおばさん(=大竹しのぶ)とその叔父がすっといい仲になっちゃって、オダギリジョーの美人の婚約者も、なんか従順すぎて裏になんかありそうで……と、コミカルとシリアスが交互にくる展開は、観ている間は退屈しなくていいんだけど……ちょっと冷静になってみると、狭いところに押し込められた人間が、個々に身勝手なエゴをぶつけ合う「ありがちな光景」に、息苦しさを覚えてくる。
結局、この父と子は、最後に逃避的な行動を選択するわけだけど、これは映画だからとれる選択肢であり、現実にはこういうこと(滅多に)できないからなぁ……。
リアルには、特に人間関係が閉鎖的な田舎では、この映画のような逃げ道がない、というか。
そういう意味では、これ、大多数の観客にとっては「とってもアンハッピーな終わり方」、なんじゃないだろうか?