死図眼のイタカ

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

こういつは、ちょいと、評価が微妙になるなぁ……。
一般的なラノベと比較すれば、この本はそれなりに高い水準に位置する……と、思う。もっと、箸にも棒に引っかからないような作品が多すぎる、ってことだけど。
でも、この著者の、他の作品を知っているとなぁ……。
「この題材でこの著者なら、もっと面白く出来たんじゃないのか?」
とか、思ってしまった。
キャラクターがどうにも書き割り的で精彩に欠けている。
そのおかげで、作中で何人死人が出ようが、読んでいるこちらは全然感情移入できない。
この構成だと、前半でとことん萌えとかほのぼのさせておいて、後半でそれを完膚無きまでに壊していく……というのが効果的だと思うのだが……この作品では、ちょと、いろいろと中途半端な気がした。
書いている人は、もっとトコトン、突っ走れる人なのになぁ……。
あと、複雑な設定を説明するのに、文章を割きすぎ……というか、こういう理屈っぽいのは、あまりラノベとか異能バトル物には向かない、っていうか……。
いや、わたし的は、これくらい練り込まれている方が面白いと思うのだが……想定される読者層のことも考慮すると、ひとことでいって、「ドライブ感」がない。
つまらないとはいわないけど、なんか、「惜しいなぁ」とつくづく思ってしまう出来だった。