スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 ブックレット付プレミアム・ボックス (数量限定生産)

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実にティム・バートンらしい映画だった。「シザー・ハンズ」とか初期の頃の暗い雰囲気が、画面からよく滲み出ている。
「十九世紀ロンドン」という陰鬱な舞台は、たしかにティム・バートンが好みそうなモチーフでは、ある。というか、晴れているシーンは一つもなくて、雨とか曇り空、あるいは夜のシーンばかり……という撮り方が、なんか、もろ、ゴッサムシティ風。
そして、冒頭からカメラが動く動く動く。
ティム・バートンは、なんだかんだいってコンピュータによる画像処理を、うまく使いこなしているよな。ティム・バートンのような「作り込み系」の監督にとっては、今の画像処理技術って、すっげぇ恩恵なんだろうな。
もともとはブロードウェイにあがっていたミュージカルだというけど、シナリオとスコアなんかは、そっちから流用している部分が多いのだろう……と、推測。音楽もシナリオも、それなりに練り込まれた、完成度が高いものだったと思う。
特にシナリオは、盛り上げるところ、引き締めるところ、そして、最後のケリの付け方まで、実に巧妙に計算されている。グロシーンは、「そういう話しだ」と思いつつ観にいったので、特に抵抗はなかったけど、基本、「復讐のため」とかいって人を殺しまくる話しで、オチの付け方がなんか因果応報的なのは、ちょっと笑いたくなった。
大衆向けにするには、やはりこういう勧善懲悪な要素は盛り込むべきなのかな?
歌は……まあ、それなりに決まっていた……と、思う。わたし、音楽にはそんなに詳しいわけでも耳が肥えているわけでもないけど、少なくとも「聞き苦しい」役者はいなかった。
お話的には、なにせ主人公が自分の復讐のことしか考えていないようなキャラクターなので、暗いとかいいようがない。これ、ジョニー・デップでなくても良かったくらいの役だと思うのだけど……キャスティングも客の入りに影響するから、仕方がない部分もあるのか。