#7

彼女がぼくに対して「あなたは何か欠けている。正常じゃない」といい、ぼくは「そんなこと、今頃気づいたのか?」と答え、その後は次第に語調を激しくしながら短い問答を続け、それは彼女がぼくの頬を叩いて店をでていくことで締めくくられた。ぼくは店内に居合わせた人たちの視線が自分の頬に集中するのを感じながら勘定を済ませて店を出て、そこでため息をついて、彼女に電話をかけて、先ほどの喧嘩よりもよほど長い調停工作を開始した。ぼくらはいつもこんな感じで、けっして相性がいいわけではないのに、何故かもう長いこと、つき合い続けている。
ぼくも彼女も孤独が好きで、一人きりでいるよりは、二人でいる方が孤独を身近に感じられることを知っているから、続いているのだと思う。


はてなハイク超短編より転載。