零崎軋識の人間ノック

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)

零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)

やはり、西尾維新の作風というのは、主役よりも脇役の方が断然光っているものなのだな。
零崎軋識くんも、暴君に仕える人と零崎の人、という二重生活を送っている……という、結構魅力的な設定がありながら、そのギャップの面白さがイマイチ活かされていない気がする。それとも、戯言シリーズ本編で書ききれなかった人たちを再び召還するための道具として、便利に使われただけ、ということなのか。
まあ、ありたいにいって、比較的常識人の軋識くんよりも、周囲の非常識な人たちの言動のが、ぶっちゃけ面白いのだな。それこそが、著者の狙い通り、なのかも知れないけど。
作品としてみると……うーん。いつもの西尾維新、としかいいようがない。可もなく不可もなく、といったところか。ぶっ飛んだ設定やキャラクターを受け入れられる人なら、それなりに楽しめる出来ではある。