ALWAYS 続・三丁目の夕日

実は、前作の「三丁目の夕日」も、「たいした作品ではない」、という認識を持ちながらも、わざわざ劇場に見に行っている。
「たいした作品ではない」、という認識は、別に作品をおとしめているわけではなく、こどもにでも年寄りにでも分かりやすい、ウエルメイドな作品である、という認識を持っていた、ということで、この印象は、前作、今作、とも、特に裏切られることもなかったと思う。ストーリー的にみれば、このシリーズ、良くも悪くも、「浅薄な内容の大衆娯楽作品」なのだ。だからこそ、あれだけお客が入る。
そうと分かった上でわざわざ劇場に足を運んだのは(とはいえ、前回も今回も、千円均一の日にいったんだけどさ)、やはり、「背景」が見たかったから。
この映画の隠れた主役は、大金と最新技術を投じて作った、「当時の東京の風景」という幻影だと思う。前作では東京タワーや上野駅、今作では日本橋、それに、「こだま」の車窓から見える風景、とかが、実に「昔」のものだった。
実にさりげなくみせているけど、「当時の東京の風景」という幻想をこれほど細心の注意を払って構築した映像、というのは、前代未聞なのではないか?
幻想はあくまで幻想で、当時猖獗を極めていた公害の描写などが意図的に排除されている、などの演出はあって、そういう意味ではあまりリアルではないのだが……とりあえず、従来の日本映画が意図的に、あるいは予算の都合などで、意図的にリソースを割いてこなかった「背景」の部分に、これだけ力を入れて、なおかつ、興行成績的にも十分な物を残した、という功績は、評価してもいいと思う。
しかし、まあ……「芥川賞」の世間的なイメージ、って、こんなもんなの?