平田弘史傑作選2 無惨

平田弘史傑作選 2 無惨 (ニチブンコミック文庫 HH 2)

平田弘史傑作選 2 無惨 (ニチブンコミック文庫 HH 2)

っち。
amazon、書影なしかよ……こんな重要な作家の傑作選を……。
ということで、今日明日で連休も終わりですので、どんどん既読の中でまだ感想書いていない本を消化していきますですよ。
二巻目は、「日陰者の死」、「吉田松陰」、「茶筅髪禁止令」、「無双奥義太刀」、「太刀持左馬之介」の五本収録。
例によって、どれもこれも見事なまでに悲惨な終わり方をしています。途中の展開も結末も、誠に持って救いがない物が多い。その割に、読後感がさほど悪くはないのは、アンハッピーエンドではあっても、おのおのの作品の主人公は、それなりに自身の一分を貫き通して終わる……というより、貫いた結果、(客観的に見れば)不幸になる、という構造が共通しているからでしょうか?
少し考えてみれば、「自分の将来を抛ってでも分を通す」ということが出来る人は、絶対的に少数派です。これは、時代がいつであろうと関係がない。たいていの人は、適当なところで世間と折り合いをつけて安寧を得る。
氏の作品を読み終えたときになにがしかのカタルシスが得られるとすれば、それは、「破滅覚悟で我を通す人たち」の愚直さと存在に、自分たちでは達成できないある種の理想像を仮託するするからではなかろうか? もちろん、そんな存在は「ほとんどいない」という点においてファンタジックでさえあり……そうしたファンタジーに説得力を持たせているのは、氏の画力と想像力、それに「時代物」というフォーッマと現代の読者との距離感だと愚考する。
ああ……この人の作品に対しては、まだまだいいたいことがいっぱいあるのだが、際限がないのでこのあたりで止めておこう。