狼と香辛料V

狼と香辛料〈5〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈5〉 (電撃文庫)

はいはい。TVアニメ化も決まった人気シリーズっすね。公式ページの絵を見ていると、普通の萌え系に見えるので、今の時点ではかなり微妙な感触を持ってしまいますが。
このシリーズは、ラノベらしからぬ精緻な舞台設定と地味な雰囲気が好きでずっと読み続けているわけだ。この五冊目も十日ぐらい前だったかな、読み終わったのはいいけど、暑さと仕事の疲れでこっちに感想かく余裕なくって、盆の連休も押し迫ったこの時期にようやくこうしてかきはじめるわけである。ここ二、三年、仕事の関係で盆も正月もろくに休めない生活をしていたので、今年は丸々一週間ぐったり休んだのであった。
閑話休題
で、読み終わってからしばらく間空いていたので、すっかり内容を忘れていて、今パラパラと読み直して内容を思い出したのだが、つまりこのシリーズ、わたしにとってはその程度の浅い印象しか残さない内容なわけだな。というか、「物語を読む」というより、作中のキャラクターに対して「あいつら元気でやっているかなー」と消息を確認するような感じで読んでいる。ドラマとか物語は二の次なのよ。それだけ、作品世界が根底の部分で安定して、ということでもあるし、ある意味では、「シリーズ物」の理想的な読み方かも知れないけど。
この、バトルもないし世界を救ったりもしない、一見地味なシリーズがかなりの好評を博しているのは、物語を左右する大きな要素として、相場とか交易とかの「経済」の要素を組み入れたこと、それに、主人公が「独り立ちして数年になる旅の青年商人」という設定が、今、現実にラノベを読んでネットで積極的に評価している層(二十代から三十代半ば以上)に親近感を持たせたからなんではなかろうか? とか思ったり。
「社会に出て数年」という立場は、こうした読者層にしてみれば、よくある学生が主役の作品よりかは、感情移入しやすいんじゃないかなあ、と愚考する。
もちろん、作品として良質なのは確かなんだけどな。