剣のなかの竜

剣のなかの竜―永遠の戦士エレコーゼ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

剣のなかの竜―永遠の戦士エレコーゼ〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

あー。
今更、エレコーゼの続刊が出るとは思わなかった。なつかしーっつうか、なんつーか……。まあ。エルリックの新装版と新刊が出るているわけだから、そういう展開もありか……。
で、肝心の内容の方だが……あー。いつものムアコックでありエレコーゼ。
なんだかわけがわからないうちに、予備知識がないまま異世界に移動。自分の役割を模索と試行錯誤しつつ、敵になったり味方になったりする人たちといろいろやりとりをして、超自然的な神様とか存在とかがいろいろちょっかいだしてきて、で、最終的には、落ち着くべきところに落ちつく……って構図は、相変わらず。
むしろ、エルリックの新刊分が思いっきり「現代」の影響を受けているのと比較すると、こっちのシリーズは、ほとんど過去に書かれた作品群と性質が変わっていない。しいていえば、昔ならごく簡素な描写ですませていたところを、ここではくだくだしく詳細に描写するようになっている、という変化があるくらいだが……同様の変化は、エルリックの方でもあるし、さらにいうと時代が下るにつれて「饒舌」になる作家は、別にムアコックだけではない。
個人的には、このマンネリ気味の展開も含めて、ちょいチープなエンタメとして楽しめた。
しかし……この作品の中のフォン・ベックくんは、すっかり砕けた性格になって、英雄の友人業に収まっているなぁ……。最後には、ほかのフォン・ベックくんたちとは違う運命を歩んじゃうし。まあ、多元宇宙が前提としてあるから、これでいいのか。
次回配本は、「軍犬と世界の痛み」だそうで……今度は、そのフォン・ベックくんのご先祖様のお話ですよ!