滴り落ちる時計たちの波紋

滴り落ちる時計たちの波紋 (文春文庫)

滴り落ちる時計たちの波紋 (文春文庫)

平野啓一郎、初読み。
しかし……この人の「現代人」の描き方は、残酷なほど凡庸だな。それが「リアルだ」といわれてしまえばそれまでだが……一番、ページ数が多い「最後の変身」なんて作品は、もう、読んでいる最中、痛くて痛くてね。一人称の小説なんだけど、そこに書かれている主人公の独白、そのあまりにも凡庸な自意識過剰ぶりが、読んでいて、実に「痛い」。でも、「ああ。こういう人、いてもおかしくはないなー」と思えるほどには、リアルでもある。
だが……うん。この人の作品は、もう、おれ、読まなくていいや。こういうこと味わうために本読んでいるわけではないもんな、おれ。