平田弘史傑作選 1 介錯

平田弘史傑作選 1 介錯 (ニチブンコミック文庫 HH 1)

平田弘史傑作選 1 介錯 (ニチブンコミック文庫 HH 1)

おのれらに告ぐ、介錯、秘筒抱え大筒、反逆の家紋、不承知槍、始末妻、烈願記の七編収録。
どれも、読後感がずしりと重い。
よくよく考えてみると、どの話しも理不尽、不条理な設定の上に起こる悲喜劇を描いているわけだが、そのどれもが「士道」という一種の建前論によって、事態がややこしくなっている、という共通点は、おそらく著者の痛烈な批判精神の現れなのではないか。いや、本当。この本、見事までにハッピーエンドがひとつもない。あと、シリアスな絵にだまされがちだけど、「始末妻」のあの設定は、どう考えても異常です。よくもあんな発想をギャグではなく、こうした痛ましい話しとして真面目に描いてしまえるものだ。こういう悪趣味すれすれのユーモア感覚も、他に類例がないと思いますねえ。