ホエホエー!

http://rainy.no-blog.jp/xop/2007/04/post_2ad0.html

始まり方も尋常ではありません。まず初めに「鯨という語の語源」、「鯨という語を含む名文抄」なるものをタップリと読まされます。ワタクシも初め、「名作古典文学」なるものに対する敬虔な気持ちから「ははあ、さようでございますか」と真面目に読みだしたわけですが、そのうち脳内バーチャル深海の中を大小無数のホエール達が身をくねらせつつ「ホエー! ホエー!(鯨が実際そんな鳴き方してるのかどうかは知らん)」と絶叫しているという世にも恐ろしい状況に至ったのであります。もはや容易に日常には戻れない大海原に放り出された気分で読み出した第一章。「イシュメール、これをおれの名としておこう」。この一文で始まる物語の、もうかーーっちょえーこと!!! でもってワタクシ、いまだにこの小説を十大カッコイイ小説の一つにカウントしているのであります。どーカッコイイのかっつーと、身震いするような、心拍数が急上昇するような、誰かさんに憑依されてるような、おしっこちびりそうなのにトイレにいくのを忘れるような、自分の貧乏さを忘れるような、夕食食べ忘れるというありえんことが起こるような、カッコよさ!! ホエーホエー! ……読み進めるうちにだんだん、「この小説ホントに中身深いの? なんか騙されてるんじゃなーい? 実はカッコイイだけで、中身無かったりして」といういささかの疑念がわいてきます。つまりワタクシにとって、この小説は、「十大うさんくさい小説の一つ」でもあるわけですが、しかしそんな思いも蹴散らす勢いで物語は進みます。ホエホエーー!

あまりの的確さに思わず笑った。
まあ、あれは、そういう小説だしホエホエー!。