「寝ずの番」

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ということで、ちょっくらチャリンコ頃がして観てきました。

昭和15年生まれ、5歳で映画デビューという芸歴半世紀にもわたる俳優・津川雅彦が、日本映画界の創始者である祖父・牧野省三マキノ省三)、早撮りの名手としてならした伯父・マキノ雅弘が築いた“大名跡・マキノ姓”を襲名した。
マキノ省三が日本で初めて映画撮影を行ったのが1907年(明治40年)「狐忠信」という作品。残念ながら完成には至らなかったが、2006年はこの年から数えて100年目となる記念すべき年。その記念年に3代目マキノ監督“マキノ雅彦」”が誕生することとなった!

マキノ雅彦が初監督作に選んだ作品は中島らも原作の「寝ずの番」。
上方落語の一門で師匠、一番弟子、おかみさんが次々と亡くなり、それぞれのお通夜の席で“寝ずの番”をする弟子や故人ゆかりの温かい仲間たちが、悲喜こもごもの思い出話に花を咲かせる人情物語だ。ちょっとエッチで危ない爆笑エピソードの連続のなかに垣間見える仲間たちの強い愛情、絆が、爽やかな涙、何とも言えない小粋で心温まる感動を生み出している。

ということで、平日の昼間ということもありーの場所柄もありーの作品もありーので、わたし以外の観客はほとんど還暦過ぎと思われるじいさんばーさんだった。ま、いいけど。
映画のほうはね、面白いといえば面白かった。
上方落語家周辺の人々」という題材が題材なだけに、シモネタが多かった、という点と、やはり「人の死」を扱うとどうしても感傷的な部分がですぎてしまうなーというベタな部分を、役者陣の力量でなんとか見られるものにした、という態ではあったけど。
特に、終盤で中井貴一堺正章が中心になって、三味線片手に猥歌合戦になるシーン(物語り的には、ちゃんと必然性あります)、歌詞はものすごくくだらねーっつがベタベタに卑猥な内容なんだけど、前後の流れでその卑猥な歌が故人と生者たちが交歓するためのコミュニケーションツールとして機能しているので、実際にみているとさらりとして全然卑猥ではない。
こういう表現というのは、やはりTVとかではそのまま流せないわけで(映画R-15指定だった)、まだまだこのあたりを工夫すれば、今まで劇場に向けていなかったお客さんも、呼べるんじゃないか?
というか、邦画でハリウッドとかTVの亜流とかやってもしかたがないのだから、こういう方面もっと頑張って開拓して欲しいですねー。