復活の地１〜３
何日か前に読んだ「老ヴォールの惑星」が予想をはるかに超えた面白さだったので、続いてこっちに手を出したら結局一気読みしちまったぜ。まあ、いつかは読もうと思ってた本で、それが今日になっただけではあるんだが、執筆予定がなぁ……。
で、こっちも面白かったぁ。うん。前評判から想像していた以上に。この人、今の日本のSF畑で今一番脂がのっている作家かもしれないな。
ただ、不満点というか、もっとかき込んだほうがいいかな、という点がいくつかあって（多く指摘されている「恋愛関係・あるいはキャラクター個々の書き込みの薄さ」、でない。群像劇として書かれている以上、「便宜上の主人公」も淡々と物足りない程度に書かれる程度でいいのだ。この物語の本当の主人公は「名前が出てこないような、その他大勢の人々」だと思うし）、ネットのような双方向性の上方インフラがない世界で、この作品の後半で書かれているような柔軟、かつ大規模な組織運動が可能か、仮に可能だとすれば、どのような「情報官制」によって可能になるのか、という点を、システムの面からの設定をかき込んでいない点で、「ご都合主義的に協力してくれることになった外国の船の支援をうけて」という本書の解決方法だと、ちょっと説得力に欠けるんじゃないか、ということ……。
あー。
ハード的にハイスペックでも、それだけで解決する問題じゃないしねぇ……。
その辺、なんかもっともらしいブレイクスルー設定されていると、「SF」とか「シミュレーション」としての精度が上がったんじゃないだろうか。
まあ、今のままでもかなり上出来、ではあるんだけど、そういう細かい所、けっこう気になるんだよねえ、わたしみたいなスレたのは。
