安徳天皇漂海記
- 作者: 宇月原晴明
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/01/01
- メディア: 文庫
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古近和歌集の歌なんか引きつつ、三種の神器がどうのこうのやっているあたりは、ちょっと退屈だったな。出てくる文物がこちらにとって馴染みがない、ってあくまで読者であるこちら側の理由で。
面白くなってくるのは、唐船がでてきて、「もうひとりの幼い帝」がでてきて、安徳天皇と、大昔の大陸と本邦の歴史や人物が時空を越えてオーバーラップしていくあたりから、俄然面白くなってくる。
スケールが大きくなってくる、作品世界がガッと広がっていくというのと、いろいろな仕掛けを施して、「本来ならであえるはずがない」ものや人物を邂逅させていくのは、やはりフィクションだけに許された自由さ、快楽だ。
そんで、いろいろあって終盤にさしかかると、「あ、これは確かに渋澤の高丘親王航海記のオマージュだわ」と腑に落ちるのであった。
- 作者: 澁澤龍彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1990/10/09
- メディア: 文庫
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