シスタージェネレーター

シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

シスタージェネレーター 沙村広明短編集 (アフタヌーンKC)

沙村広明の短編集。
「久誓院家最大のショウ」
なんというSM。むしろこれぞSM。
いやぁ、ここまで突っ切って描いてくれればヘンタイも読みごたえあり。
ただのヘンタイではなく親子でもあるから、アブノーマさよりも精神面での葛藤が際立つ。
しかし、あの墓石はない。

「制服は脱がない」
女子高生たちがでてきて適当にだべるだけ、ストーリー的にはいかにも手抜きな感じのする連作だが、絵には手抜きがない。

「ブリギッドの晩餐」
せっかくシリアス展開していたのに、ああいうオチのつけ方はないだろう、といい意味で呆れた作品。
もっと長いヴァージョンも読みたかった。

「シズルキネマ」
昭和くさい設定と平成的なディテールとのミスマッチ。
そんで最後にその「ミスマッチ」の原因が明らかにされる。
こうしてみると、「オチ」には結構こだわりがあるのか?

「下層戦略 鏡打ち」
いかにも、「編集の依頼を断り切ることができなくて慌ててでっちあげました」的な事情が裏に透けて見える作品。
なにこの無理矢理感。

「青春じゃんじゃかじゃんじゃか」
短いけど笑った。いかにも、実際にありそうな話。
でも、佐和ちゃん、あの恰好で店長と話すって、いったいどんな職業なんだ?

「エメラルド」
西部劇。
派手なドンパチもあるけど、それ以上に細かくて大量の伏線をギュッと凝縮した感じに痺れる。無駄なセリフやコマがひとつもない。
枚数以上に満腹感のある一品。