モバイルツールを活用した長編小説の書き方。
ここでは、いわゆる「創作作法」については記述しません。
ことに「小説の」と限定しても、あまたのハウツゥ本が出版され、書店や図書館にいけば容易にアクセスできるからです。
では、なにを説明するかというと、「一定以上のボリュームを持った長編小説を、モバイルツールを使用して効率的に書き進める」ために必要なコツや小技、ということになります。
- 作者: ディーン・R.クーンツ,Dean R. Koontz,大出健
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1996/07/01
- メディア: 文庫
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- 作者: 鈴木信一
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2009/04/16
- メディア: 新書
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- 作者: 花丸編集部,夢花李
- 出版社/メーカー: 白泉社
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- メディア: 単行本
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一 執筆に使えるツールいろいろ。
不便なの → 便利なの、の順番に、思いつく限りあげていきます。
一−1. (通常の)携帯
入力 → 基本、親指
長所 → お手軽で、誰でもすぐにはじめられる。
短所 → キータッチに慣れていないと、長文を打つのがつらい。(逆にいうと、普段から打ち慣れている人には、まったく問題がない)
機種やキャリアによっては、送信できる文章量に制限がある。後でPCなどを使用しての編集作業が必須。
データ連動方法 → メール。メディア(マイクロSDなど)。
コスト → 今では持っていない人の方が珍しいだろうから、初期費用が不要。
一−2. pomera
入力 → (小さいながらも)キーボード。
長所 → PCとほぼ同じキーボードが使用できる。ただし、ある程度の「慣れ」は必要。
短所 → テキストのファイルサイズに制限がある。後でPCなどを使用しての編集作業が必須。
データ連動方法 → 有線によるPCとの同期。メディア(マイクロSD)。
コスト → 初期費用が製品の値段分、必要。
- 出版社/メーカー: キングジム(KINGJIM)
- 発売日: 2008/11/10
- メディア: オフィス用品
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一−3. スマートフォン
入力 → (小さいながらも)キーボード。
長所 → PCとほぼ同じキーボードが使用できる。ただし、ある程度の「慣れ」は必要。
短所 → 画面が小さい。
データ連動方法 → 有線、無線によるPCとの同期。メール。ストレージ・サービス。メディア(マイクロSDなど)。
コスト → 初期費用が製品の値段分、必要。
HTC SIMロックフリー・スマートホン X7501 X7501BK
- 出版社/メーカー: HTC
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一−4. モバイルPC(ノートパソコン、ネットブック)
入力 → キーボード。
長所 → PCとほぼ同じキーボードが使用できる。
短所 → 機種によっては持ち運びに難儀する。(重量、サイズなど、物理的な制約)
データ連動方法 → 有線、無線によるPCとの同期。メール。ストレージ・サービス。メディア(マイクロSDなど)。
コスト → 初期費用が製品の値段分、必要。
だたし、回線などの新規契約と同時に購入すると、ごく僅かで済む場合もあり。
【Amazonオリジナル】 MSI 10インチワイド液晶 Wind Ultra Light U100 Light ブラック 100U-LA-BK-A
- 出版社/メーカー: MSI COMPUTER
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TOSHIBA dynabook UX/23JWH ネットブックPC PAUX23JNLWH スノーホワイト
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二 「環境」として、必要なもの。
二−1. ネット接続環境。
後述する、「小説を執筆するのに便利なサイト」がいくつかあるので、ないよりはあった方が、断然、有利です。
各種調べ物にも、威力を発揮します。
それ以外にも、メールやストレージ・サービスを介してファイルをやり取りするのにも、便利です。
二−2. (携帯以外の)メールアドレス
プロダイバが提供するものでも、フリー(google、yahoo、!goなど)でも可。
前述のツールの中で、pomeraを除いたすべてのもので、メールアドレスがあると、データのやりとりが格段にやりやすくなります。
二−3. 画面の大きいPC
このうち、「モバイルPC(ノートパソコン、ネットブック)」を除くツールは、最終的にデータを集計し、編集とか推敲をするための「母艦としてのPC」が必要になります。
必須、とまではいわないが(実際、なくても出来ないことはない。その場合、無駄な手間や作業時間が、膨大に増えることになる)、あったほうが絶対に効率よく作業できる。
長文を俯瞰してみたり、根を詰めて推敲する場合、ある程度以上、広い画面のあるPCは、やはりありがたい。
三 執筆をはじめる前に
「簡単なあらすじ」と「主要登場人物一覧」を、それぞれ、一ファイルつくって、書いておくことを推奨します。手書きのメモで構いませんし、実際に書いていくうちに、当初、予定していたもの内容が変わってきても、問題はありません。
「書き出す前に、どこまで内容が決まっているのか?」という点を明確にすることが目的です。
まったくの見切り発車でもいいですが、とくに経験の浅い初心者は、本文以外の場所に「書きたいもの/書く予定のもの」を明確にしておき、それを参照しながら執筆をするほうが、効率的だし確実です。
四 ファイルの管理。
四−1.一日一回以上のバックアップを。
執筆のペースはひとそれぞれ。短期集中型でも長期分散型でも、お好きなように。
前提として、例えば四百字詰め原稿用紙三百枚以上、とか、膨大な分量を一気に執筆することは、通常の人間の体力と集中力では無理なわけで、程度の差こそあれ、普通は何回か、あるいは何十回、何百回かに細切れにして執筆することになります。
その「細切れ執筆」に際して、上述した「モバイル・ツール」群は、威力を発揮します。
普段から身につけているものを使用して、合間あいまの時間をみつけて入力しやすわけですから。
ただし、最低でも、一日一回は、「データの保存」をしてください。
携帯メールでもスマートフォンでもネットブックでもいいですが、自分で用意したメールアドレスに送信するだけで、結構です。
携帯メールの場合は、「作品名のフォルダ」を専用につくって、そこに振り分けすると便利です。
そして、携帯メールとPCとで、データを連動させる場合は、定期的に、できれば毎日でも内容をテキスト・ファイルにコピーして、後述の方法で管理してください。
四−2. ファイル名の付け方
その際、ファイル名の冒頭に、「その日の日付」をいれることを、お忘れなく。
具体的にいうと、
携帯メールに直接書く場合、は、
「件名: 091117( 作品名 )」
テキスト・ファイルの場合は、
「091117( 作品名 ).txt」
といった具合に。
これには、「後で見直すときに分かりやすい」ということと、それに「自然な形でデータバックアップをする」という、二つの意味があります。
少しでも執筆した日は、寝る前に必ずファイルを整理して、作品名のフォルダに保存する習慣をつけておくと、製作期間が長くなればなるほど、いろいろな意味で安心ができます。
四−3. ファイルの種類
ネットブックやスマートフォンを利用する場合、Word用のファイル(拡張子が「.doc」)より、プレーン・テキスト・ファイル(拡張子が「.txt」)の方が、断然、有利です。
というのは、文章として同じ内容でも、プレーン・テキストよりもWord用ファイルの方が、場合によっては数十キロバイト単位でファイル・サイズが大きくなるからです。
デスクトップや通常のノートPCではさほど問題になりません。
が、処理能力に余裕がないネットブックやスマートフォンの場合、Word用ファイルのままだと、開いたりスクロールしたりする操作のレスポンスが目に見えて重く、反応が悪くなっていきます。
長編とかで扱う文字数が大きくなればなるほど、テキスト・ファイルの方が有利になります。
四−4. ファイルの管理
一番簡単なのは、「作品名のフォルダ」を制作し、関連ファイルをすべてほうり込んでおきましょう。
具体的に例をあげると、
フォルダ「作品名」の中には、
あらすじ.txt
登場人物表.txt
091101(作品名).txt
091102(作品名).txt
091103(作品名).txt
091104(作品名).txt
・
・
・
などのファイルがたまっていくはずです。
場合によっては、参考資料や(絵が描ける人は)イメージ・イラストなどを、同じフォルダいれてもいいでしょう。
四−5. 製作工程管理
「四−2. ファイル名の付け方」でファイルを保存する際、日付とファイルサイズを控えておくと、自分の執筆ペースが具体的に把握できて予定が立てやすくなります。
手書きのメモでもいいですが、ExcelやGoogle などの表計算ソフトを利用すると便利です。
この時、投稿作品の場合は、四百字詰め原稿用紙で何枚分あるのか、という換算値も書き添えておくと、構成の目安になります。
テキストを、四百字詰め原稿用紙の枚数で換算する、
文字数カウント
http://www1.odn.ne.jp/megukuma/count.htm
というサイトもあります。
具体的に例をあげると、
日付 サイズ(kb) 原稿用紙換算
091101 7.08 9
091102 14.2 17
091103 21.8 16
091104 18.5 20
・
・
・
といった具合に、執筆状況を記録していきます。
だいたいの自分の執筆ペースが把握しやすくなりますし、日々、実績が加算されていく様子を可視化すると、その分だけ自信が持てるようになります。
四−6. 品質管理
あくまで趣味として書く、読者の評価は気にならない、という方には必要のない工程ですが、誤字脱字や簡単な文法の誤りを指摘してくれるサイトがあります。
「日本語文章校正ツール」
http://www.japaneseproofreader.com/
ただし、ここなどは、プログラムで機械的に処理してくれるサイトですから、過度に信頼しすぎない方が無難です。
あくまで目安程度とわきまえて、自信のない語句や箇所などは、自分自身で複数の辞書を引いて確認する習慣を身につけましょう。
五 肝心の「執筆」以外の工程では、できるだけ頭を使わないようにしよう。
仕事や学業のかたわら、継続的に創作活動をするのは、これでなかなか大変なことです。
ただでさえ、時間や労力を取られているのですから、それ以外の部分ではできるだけ手を抜き、プログラムに任せたり、習慣化したりして、省力化すれば、それだけ気も抜けます。
実際の執筆自体は、自分の頭を使わなければならないのですから、他の部分では、あの手この手の工夫をして、せいぜい手を抜く努力をしましょう。