で、実際の所、「ファンタジア大賞受賞者」のサバイバル率ってどうなの?

富士見ファンタジア大賞ちょっといい話。@Something Orangeさんのエントリ中、

 ファンタジア大賞といえばなかなか大賞が出ないことでその筋では有名な賞です。あの『スレイヤーズ!』ですら大賞は取っていません。その賞をみごと射止めたのだから、これは偉い。すばらしい。賞賛に値する。入江さん、本当におめでとうございます。

という記述が気になったので、ちょっとぐぐって調べてみた。
ファンタジア大賞@ウィキペディアのリストのデータを、とりあえずは信用することにすると、第20回(2008年)までの公募の中で、大賞を射止めた方は四名。

「20回中四作しか大賞をだしていない」、いいかえると、「五回に一回しか大賞がでない」、わけだから、確かに、「なかなか大賞が出ない」というのも間違いではないですね。打率二割五分。
で、この受賞者の中からさらに実際の刊行実績を割り出してみます。
(再版は除外。また、「上下巻」などに分冊された場合は、便宜上「合わせて一冊」として数えることにする。)
五代ゆう  19作品(参照: 五代ゆうの長編作品
滝川羊   1冊(デビュー作のみ)
貴子潤一郎 9冊(参照: 貴子潤一郎の長編作品
川口士   8冊(参照: 川口士作品リスト@weblio
結局、今の時点でデビュー作しか出ていない滝川羊はとりあえず、置いておく。
このうち、五代ゆうは、版元を転々と変えつつも、旧作の再版や版権物も含めた多彩な作品を発表しており、貴子潤一郎はデビューした富士見書房でシリーズ物を展開、川口士もデビューした富士見書房でシリーズ物を展開、という点では貴子潤一郎と同じだが、加えてスクウェア・エニックス・ノベルズという別の版元でも平行してシリーズ物を展開している。
入れ替わりが早いライトのベル畑で、四人の受賞者中、「一発屋」が一人しかいなかった、というのは、それなりにいい成績なのではないかな、と、個人的には思います。
問題は……ファンタジア大賞@ウィキペディアのリストをみていると、多少なりとも事情に通じた方は容易に気づくのではないかと思いますけど……。
「大賞受賞者」よりも、「佳作」とか「準入選」とか「参考作」とか「努力賞」出身の作家のが、平均してヒットを飛ばしている率が多いのではないのか? といういことで……。
とくに、ライトノベルとか富士見書房だけに限った話しではないけど、ぶっちゃけ、選考に生き残るよりも、職業作家として継続して生き残っていく方が、難易度はずっと高いのだよな。