赤い星

赤い星 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

赤い星 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

あー。
悪くはない。悪くはない、んだが……なんだぁ。
読んでいるこちら側が、どうにも擦れちまっている感じだなぁ。今では、ちょっとイメージ的に、既視感を覚えるってぇか、ありきたりだなぁと思っちまうというか……。
帝政ロシアの属国となった日本の江戸、特に吉原とか秋葉原周辺と、幻の首都、ペテルブルグが主な舞台。日本を舞台としたパートでは、藩制とか大老職とかが残っているのに、主だった登場人物は、携帯電話やパソコン、ネット環境を普通に使いこなしている。
逆に、ペテルブルグを舞台にしたパートでは、いかにも古色蒼然とした古い町並みを背景に、大昔の舞台劇のような時代がかったドラマが進行する。
芸者の足抜けや偽ロシア皇太子の成長物語やら陰謀宮廷劇やらがネットゲームとか衛星レーザー砲とかと共存しているごった煮なイメージは、時代的にも地域的にも完全にモザイク状で、そんななんでもあり感は、周到に計算し、演出されたものだろう……とは、思う。
だけど、なんというか……今となっては、イメージ的には、陳腐化しているよなぁ。
例えば、古風な骨組みに大量のガジェットをまぶした「ニューロマンサー」とか、ほぼ同時代の映画「ブレードランナー」に触れた時のような興奮は、残念ながら感じなかった。
もう二十年はやく、この作品に出会っていたら、もっと面白がれたのかも知れないけど……今となっては、ちょっと、ありきたりすぎ。
ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

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ブレードランナー ファイナル・カット (2枚組) [Blu-ray]

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