「【降臨賞】空から女の子が降ってくるオリジナルの創作小説・漫画を募集します。」に応募してみた。

http://q.hatena.ne.jp/1231366704#answer_form

条件は「空から女の子が降ってくること」です。要約すると「空から女の子が降ってくる」としか言いようのない話であれば、それ以外の点は自由です。

字数制限 : 200〜1000 字程度
締め切り : 2009-01-12 18:00 で募集を止めます。
優勝賞品 : もっとも稀少な(と質問者が判断する)作品を書いてくださった方に 200 ポイントを贈ります。

 また夕紀が降りはじめたので、積もらないうちにと思い、スコップを手にして屋根に登った。積雪が多いこの時期、少しでも油断して放置しておけば、古ぼけた我が家の屋根は抜けてしまう。二階の窓から外に出て屋根まで脚立を立て、屋根の上にあがる。二階の窓から外に出られるほど、つまり、地上から二メートルほどの厚さでぎっしりと夕紀が積もっているわけだが……他人には、どうやらこれが一面の銀世界にみえるらしい。わたしにとっても、遠い昔はそうだった。
 すでに本降りになっていて、空の色を隠すように小さな、おそらく一ミリ以下の夕紀たちが降ってきている。粉夕紀、だった。「おにーちゃん」「おにーちゃん」「おにーちゃん」「おんーちゃん」……という白い服を着た小さな夕紀たちの声が耳に届く。幻聴だ幻聴だと思いながら、屋根の上に厚く積もっていた夕紀にスコップの先を当てて足を乗せ、体重をかける。「おにーちゃん」「おにーちゃん」「おにーちゃん」「おんーちゃん」……と叫びながら、小さな白い夕紀たちがドサドサと音を立てて屋根の上に落ちていく。
 あとは、幻覚を極力意識しないように努めながら、単調な肉体労働を繰り返すだけだった。
 そう。意識しなければ、どうということもない。
 何年か前に夕紀が実際に飛び降りて真っ赤に潰れたところを目撃して以来、雪が夕紀に見えてしまうことなど……ごくごく、個人的な問題に過ぎない。