AURA

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

こっちの作風のが田中ロミオの地に近いよな……とか思ったり。特に、文体的に。
エロゲから田中ロミオのテキストに親しんでいるユーザーにとっては、自虐ネタとか怒濤のネタ系ギャグとか、とにかくやり過ぎ感に満ちたこのノリの方がしっくりくる。
だいたいだね、宮崎駿とか富野由悠季とか押井守とか、ヲタク業界である程度メジャーになった人は、「二次元や妄想にひたってないで、リアルに帰れ」みたいなことを言いだすことになっている。
で、この本も田中ロミオ版のそれ、といってもいいんだけど……前述のごとく、田中ロミオだからな、そう素直な構造にはならないのだよ。
第一、「ムー」とかで、「前世」とか「生まれ変わり」とかが流行したのかなり前だよな、本文中にもあるように。今時の高校生が知っているのだろうか？
まあ、全体に見て、中二病的な意味でかなり「痛い」話しではあるのだけど、ロミオ的な処理を施されるといい具合に「普通の話し」に見えてくるから、不思議不思議。手法の毒気で題材の毒気が中和されたのか。
ある意味では、「ライトノベルのメインターゲット」を丸ごと敵に回しているような設定だよな、これ……。
ただし、まあ、題材はさておき、普通にエンタメとしてみた場合、構成とかストーリー展開、人物配置とかは、ほぼ完璧に近いんだよな、これ。途中、何度も吹き出しそうになったし、気づくとすっかり乗って読んでいたし。
クオリティは、めちゃめちゃ高い。