百舌谷さん逆上する 1
- 作者: 篠房六郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/06/23
- メディア: コミック
- 購入: 21人 クリック: 289回
- この商品を含むブログ (188件) を見る
雑誌に掲載していた時も、ぱらぱらと読んではいたんだけど、まとめて読むと、この濃さが、またもう……。
ツンデレに「ヨーゼフ・ツンデレ博士型双極性パーソナリティ障害(命名、伊藤計劃だそうで……)」といういかめしい病名を与えて、しっかりとした「病気」にしちゃうあたりとか、小学生高学年、という、ただでさえ微妙な年頃に、こういう複雑な障害を持った金髪青眼の美少女を放り込むことで生じる、いかにもこの年頃的なクラスメイトたちの波紋を描く第一話から、薄幸の少年、樺山君が登場する第二話以降の、誤解が誤解を生むねじれにねじれた展開まで、なんというか全ての濃度が、非常に、濃い。
やっぱ一番の被害者にして百舌谷さんの理解者は、樺山君なんだけど、竜田君の無邪気さと無頓着さも、実に小学生の男の子らしくて、いい。
竜田君の、周囲の人間の思惑に対する無頓着さは、百舌谷さんの樺山君に対する態度にも重なり……この辺の、「無自覚なゆえの残酷さ」っていうのは、この年齢ならありがちだよなぁ……。
しかし、まあ、笑える笑える。
絵の緻密さとか時折入る長文の台詞とか、シュチュエーションの異常さ、各キャラの心理描写の細やかさにも関わらず、この作品は、立派なコメディなのであった。
この作品にどれだけのニーズがあるのかよくわからないけど、個人的には、プッシュしたい。
お勧め。