軍鶏 Shamo(日本語吹替版)

一応、日本のマンガが原作で、ストーリーラインもだいたいのところは原作と同じ。
ただし、メインのスタッフ、キャストが香港ということで、いい感じに無国籍な雰囲気になっていましたな。設定上は日本の話しなのに、夜の町の情景とか、全然日本に見えない。刑務所の中なんかも、いい感じにフリーダムな感じで、こんないい加減な刑務所、どこにあるんかいな? と思いましたよ。
無国籍。そして、ふんぷんたるB級臭。
まあ、こっちも、そんな上等な楽しみを求めて見に行ったわけではないので、それで不満があるわけではないですが。
ファイトが出はじめるまでの序盤の展開は、正直、退屈。でも、黒川師匠が出てくるあたりから、段々と面白さが増していく。黒川師匠、マンガではいい感じのおっさんだったのに、映画では、かなりかっこいいおにーさんになってた。これはこれで、決まっているからいいんですけど。
全般に、ファイトのシーンは、エフェクトかけて誤魔化しているような感じだったな……。
第一、主人公リョウの身体が、勝ち抜ける身体になっていないし……。トレーニングシーンを多めにすることで、この辺は、誤魔化してたな。
その点、マンガは、絵で表現するわけだから、自由に描けるんだよなぁ……。
痛々しいくらいに引き締まって筋肉しか残っていないリョウの身体と、どっしりと揺るぎない菅原の身体を対比させて、それでも勝とうするリョウの執念を「絵」で見せていた。
映画版は……まあ、リアリティって点ではかなり劣るけど、「暴力」ってテーマ的には、深化しているのではないか。ネタバレになるので詳しくかけないけど、妹の「あの変更点」をみたとき、「……それじゃあ……リョウがしてきた苦労って……なになわけ?」と、虚をつかれたし。
あの変更によって、
原作は、「リョウという個人」に内在する暴力、を描いた作品、
映画は、「人間なら誰もが持ちうる」衝動としての暴力、を描いた作品、
に、なってしまったと思う。
そういう安易な普遍化は、言葉を換えると、それだけ抽象的になってしまう……ということだけど、実写でやって、マンガのリアリティを越えられないのなら……と、あえて変更した発想は(いい、とは、あえていわないけど)理解はできる。
わたしは、たまたま日本語吹き替え版で観たのだが、日本の声優さんは、やっぱレベル高いよなぁ……。
あと、魔裟斗はしゃべると棒読みだった。

軍鶏(24) (イブニングKC)

軍鶏(24) (イブニングKC)