非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎

公式:
http://www.henry-darger.com/
ということで、昨日、えっちらおっちらチャリこいで見にいった映画。
まあ、なんというか、おおよそ想像した通りの内容だった。それで失望した、ということはないのだが。
大まかにいって、
1.ヘンリー・ダーガーが創作した、「非現実の王国で」の内容を、ナレーションやアニメーションを加えて紹介したパート。
2.ヘンリー・ダーガーの生涯を説明したパート。
3.生前のヘンリー・ダーガーを知っていた、ご近所の人や大家さんたちのインタビュー。
の、三種類の内容が、シャフルして放映される。
このうち、「1」と「2」については、以前、展覧会を見た時に知ったこと、そこから派生して予測できる範囲のことしかなかったから、特に感銘を受けるというほどでもなかった。
というか、ぶっちゃけ、「物語」として「非現実の王国で」みれば、長々しいわりには斬新な部分が少なく、むしろ退屈な内容だと思う。
絵的、デザイン的にみれば、まだ価値があるくらいで。
わたし的には、「彼の被造物」よりも、「彼自身」の方に、興味がある。
問題、というか、どごん、と身に包まされたのは、「3」の「ダーガー本人を知っていた人たちの証言」で、
「変わり者で狂人だった。
金持ちだと変わり者、貧乏人は狂人。彼は貧乏だったから、狂人だった」
とか、
「人との接し方を知らない人だった。いつも引きこもっていた」
という証言に、「ぐがががが」となる現代人は、結構多いのではないのか?
あと、
「なぜ少女にペニスが描かれているのか?
彼が少女の裸を知らなかったのかも知れないし、両性具有の存在として描きたかったのかかも知れない。
本当のところは、彼に聞くしかないね。
天国で」
とかいう証言も、興味深かったなあ。
かれは長大な絵物語と日記、メモなどを残したが、彼自身が思っていたことは、直截的は記述していなかった。また、ほとんど人付き合いといったものもなく、結局のところ、実際に何を考えていたのか、推測に頼るしか方法がない。
だからこそ、ここまで「興味を引く」存在であり続けるのだろうけど。