Sweet Rain 死神の精度

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伊坂幸太郎の連作短編集を映画化。とはいっても、五作の短編集から三編のエピソードをチョイスし、若干、関連性を強固にしたアレンジを加えて一本の映画にした、という構成。
もともと、「主役が死神」というファンタジックな設定をどうやって映像で表現するのか、と思っていたら、しょっぱなに死神についてのわかりやすーい説明シーンを持ってきたりして、実はちょっと興ざめだった。相棒(上司?)の犬、という原作にはないキャラクターを持ってきたり、原作ではあやふやにしていた時間経過についての伏線についても、あまり隠そうとはせずに徹頭徹尾わかりやすーく説明してしまっている。
……視聴者に読解力を求めるような作り方は、最近では流行らないのかのぉ……。
話しの流れがわかりやすーくなった分、映像的にはそれなりに凝ったこともしていて、作品全体の雰囲気をふわっとしたものにしている。CGとかの使い方は、なんというかこれ見よがし的で、正直にいって、わたしの好みではないのだけど、演出の方向性としては、「こういうのやりたいんだろうな」とは、納得できる。
というか、美術がもう少し駄目だったら、テレビの二時間ドラマでも充分だったような内容だ。映画、ではなく。
監督の筧氏は、十四歳でスペリオール新人賞を取った人で、もともと「絵」に比重がかかったタイプのクリエイターだから、こういう作りになったんだろうなぁ……。
そして、監督と共同脚本としてクレジットされている、小林弘利。この映画のふわっとした雰囲気は、おそらく、多くはこの人から出てきている……んじゃないかな? 最後のエピソードで、美容院に集めるのを小学生に変更したりしたのは、おそらくこの人のアイデアに違いない。
まあ、結論としては、いい意味で軽い映画だった。あまり肩肘張ったり身構えたりしないで見る分には、充分に楽しめる。