自虐の詩

飯田橋ギンレイホール、二本目。というか、こっちの方がお目当て。
原作は好きだけど、あの堤監督だから、出来の方はどーかなーっ……とか思いつつ、ロードショーは見逃してたやつ。これががまぁ、予想以上にいい出来に仕上がっていた。過剰なCGとか演出とかも、いつもよりは控えめで、むしろ、地味めの人間ドラマの部分をしっかりと造り込んでいるように見えた。
基本的には原作にかなり忠実だけど、所々、西田敏之演じる幸江の父親など、些細な改変や付け足しもあり。もう少ししつこいと、「うざいなあ」と思ったかもしれないけど、この程度ならまあ、「原作の精神にかなり忠実だし」と笑って済まされる程度に収まっていたと思う。
前半でギャグとばして、後の方に行くに従って、しんみりした展開になっていく構成も、四コママンガから出発して一大叙事詩になっていって原作の進行を思わせる。
キャストに関していえば、原作の内容を考慮すると、主役の二人は少し美男美女すぎやしないか、と、観る前までは思っていたのだが、観終わった後は、「これはこれでいいか?」と、思うようになった。
長身の阿部寛は台詞がむちゃくちゃ少ないんだけど、その分、全身で演技していた。大阪の街を走り回るシーンとか、ロングで撮っていることもあって、大柄な体の動きがスクリーンによく映える。