恥辱
- 作者: J.M.クッツェー,J.M. Coetzee,鴻巣友季子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: 文庫
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主人公はセクハラレイプで職を追われた典型的な唯我独尊タイプのインテリバカだし、その娘は娘で、自分で自分を苦るしい方向に置こうとしている潜在的破滅願望の持ち主にしか見えないし……。
主人公のセクハラ教授は、まあ、共感は出来ないが理解はできる。こういうヤツはいるよな、って。「自分の価値観が一番正しい」と思いこんで頭っから疑おうとしない、日本でいうと、段階の世代に多いタイプだ。読みやすい文章で書いているからすらすら読めちゃうんだけど、実際にこの人が身近にいたら、わたしは側にいたくない。
娘は……どうしてああいう選択をし続けるのか……というのには、とんと納得がいかないのだけど、それでも……結局、この人は、自分の「我」よりも生物として「この土地」に溶け込むことを選択したのではないか……とか……かなり無理矢理気味にだけど、納得できないこともない……。
っつうか、そう思うより他、納得のしようがない、というか……。
この娘に関しては、同じ作者の、「マイケル・K」の印象が、少し被った。「殉教者的精神を持った農民」というイメージで。
- 作者: J.M.クッツェー,J.M. Coetzee,くぼたのぞみ
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/08
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むしろ、そこまで粉砕されたことで、かえってこの土地にとけ込めた……いや、自分自身は無理でも、これから生まれてくる子供は、完全に「この土地のこども」だと、かえって納得しているような節もあるし……。
ああー……。
やっぱりこういう、加害者とか被害者とかいうカテゴリが曖昧になっている人のメンタリティというのは、どうにも理解が出来ない。