夢の守人

夢の守り人 (新潮文庫)

夢の守り人 (新潮文庫)

「守り人」シリーズ三冊目、文庫化を機会に読了。
前巻、「闇の守り人」で自分のルーツとある程度折り合いをつけてかえってきたバルサが、帰路、ユグノという奇妙な歌い手と同行することになる。そのユグノの正体というのがまたかなり入り組んでいて……まあ、いろいろ話しが広がっていって、シリーズ既刊分の主要キャラクターほぼ全員が出そろうくらいの大きな話しになってしまう。というか、ここまで数珠繋ぎになってしまうと、いっそ笑っちゃうよな。いや、こういう展開は決して嫌いではないですが。
で、内容的には、前巻がほぼ「バルサ個人の物語」であったのに対し、今度はタンダとかトロガイ師とかチャグムとか、複数のキャラの「過去と現在」に深く踏み込んだ内容になっている。
それぞれの来歴と現在、そして、未来。生きてりゃいろいろ悩みはあるさ、的な。
ファンタジー物だから、それなりにごてごてとディテールを固めているわけだが(それが様式というもんだ)、テーマ的には極めて今日的な内容になるのではないかな、これは。
このシリーズは、というより、この人が書くものには、やはり外れがないなぁ……。