夢の守人
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: 文庫
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前巻、「闇の守り人」で自分のルーツとある程度折り合いをつけてかえってきたバルサが、帰路、ユグノという奇妙な歌い手と同行することになる。そのユグノの正体というのがまたかなり入り組んでいて……まあ、いろいろ話しが広がっていって、シリーズ既刊分の主要キャラクターほぼ全員が出そろうくらいの大きな話しになってしまう。というか、ここまで数珠繋ぎになってしまうと、いっそ笑っちゃうよな。いや、こういう展開は決して嫌いではないですが。
で、内容的には、前巻がほぼ「バルサ個人の物語」であったのに対し、今度はタンダとかトロガイ師とかチャグムとか、複数のキャラの「過去と現在」に深く踏み込んだ内容になっている。
それぞれの来歴と現在、そして、未来。生きてりゃいろいろ悩みはあるさ、的な。
ファンタジー物だから、それなりにごてごてとディテールを固めているわけだが(それが様式というもんだ)、テーマ的には極めて今日的な内容になるのではないかな、これは。
このシリーズは、というより、この人が書くものには、やはり外れがないなぁ……。