皇国の守護者 5

皇国の守護者 5 (5) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

皇国の守護者 5 (5) (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)

え?
マンガ版、ここで終わりなの?
ようやく役者が揃ってきて、これからというところで……これでは、打ち切りというか、寸止めももいいところではないか。
いきなりの中断に関しては、作者、編集、原作者の間でかくかくのやりとりがあった結果、などというもっともらしい風評が流れていて、わたしもネット上でめにしたことがありますが、そうした噂はいくらもっともらしくても裏付けがない「噂」にすぎないので、真偽のほどははっきりとはしない。
ただ、原作あるなしに関わらず、この作品が近年希にみるクオリティを保持していたことは確かで、そうした優れた作品が半端なところで中断し、事実上未完のまま埋もれていくことを惜しむだけだ。
この作品は、戦闘シーンとか駆け引きとか「動」の部分もいいけど、人物の顔つきとか佇まいとかの「静」の部分も、いい。どのキャラクターも、そのプロフィールにふさわしい風貌をたたえて佇んでいる。
事実上、戦後処理の巻で静的なシーンがほとんどを占めるわけだが、新城がはじめて直に対面する帝国側の将兵とのやりとり、捕虜待遇から帰国してからの「帝国の一般市民」の風あたり、なんかが、じつに「さもありなん」風の説得力を持っている。
特に、かなりのページ数を割いている敵指令管との漢会話はなぁ……原作既読で将来のことを知っているだけに、なおさら感慨があるし、壷にはまる。
それ以外に、例えば、この巻から初登場の羽鳥や、登場はしていたけどあまりまともに描写されていなかった「義兄上」や「殿下」の顔つきも、「ああ。この人はこういう表情をするだろうな」という説得力を持っているように思えた。
イヤ本当、惜しいマンガがくだらない裏事情のせいで未完のままに放置されることになったもんだ。