チルドレン

チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

陣内という奇矯な人物を巡る連作短編集。
大学時代の友人、鴨居、銀行強盗に巻き込まれたとき知り合った視覚障害者の永瀬と盲導犬のべス、永瀬の恋人、優子、家裁の調査官の後輩、武藤など、陣内の周辺の人々の視線によって語られる短編が五篇、収録されている。
作品により、陣内がまだ学生だったり、家裁の調査官としてすでに数年のキャリアを持っていたり、と、作品によって時間が前後している趣向で、最後に収録された「イン」という作品で、陣内が陣内となる決定的なイベントが起こって全体の結構に腑が落ちる、という構成になっている。こういう伏線の処理の仕方は、この伊坂さん、流石にうまい。ぴったりと嵌りすぎてかえって鼻につくほどに。