敵は海賊・正義の眼

敵は海賊・正義の眼 (ハヤカワ文庫JA)

敵は海賊・正義の眼 (ハヤカワ文庫JA)

「十年ぶりのシリーズ新刊」ってネタですか? この版元、この作者でしかあり得ない現象だよなぁ……。
この「敵は海賊」シリーズをラノベに含めて分類する人がネット上にいくらかおるようだけど、他の版元とか作者では、こういう真似できないから。っつうか、十年も間が空くラノベなんて例外中の例外だから。(皆無、とはいえないあたりがなんとも。それでソノラマ潰れたし)
作品についていうと、いつもの通り……と、いいたいところだけど、ちょっと珍しく未消化な部分もあり。
狂言回しのモー・チャイは(どうでも)いいんだけど、リジーの出生とか、もったいぶって伏線を張った割にはこの本の中では回収されていない。毎度お馴染みの海賊課刑事たちも、今回は顔見せ頻度、いつもより少ないしねぇ……。セレスタンまで出てくるとは思わなかったし。というか、こいつら、実戦バリバリの体育会系だから、理念とか観念的な話しで絡んできても、やることないんだよなぁ……。
広域警察、ではなく、地域警察であるメカクール市の市警たちの行動に紙幅が割かれているあたりは好感が持てるんだけど。「広域」がつかない地回りの警官から、海賊とか海賊課とかがどう見られているのかしっかりと描写されているし。
「シリーズ物の一冊」としてみればそこそこだけど、これ一冊で読むと、かなり点数が辛くなるんじゃないかな?